山本光伸訳「エンデュアランス号漂流」記を読んだ。
序にいわく「あの出来事を、そしてそれを生き抜いた男たちの姿を、できる限り正確に再現したいと考え、私は手を尽くした。
1914年サー・アーネスト・シャクルトンらによる南極大陸横断探検旅行が行われた。
「午後5時、船を棄てるよう命令が下った。だが、命令など不要だった。この時すでに誰もが、自分たちの船は瀕死の状態にあり、あきらめるべき時が来たのだとわかっていた。男たちの表情に恐怖の色はなく、不安すらよぎることはなかった。丸三日間、死にものぐるいで闘い、そして負けた。男たちはほとんど無関心ともいうべき態度で、敗北を受け入れていた。」この文章で始まる漂流記は極限状態の日々を生きるシャクルトン隊長と隊員たちの言動がいきいきと記されている。
極寒の地にアザラシを食しながらも二年間いかなる困難をも克服し、隊員22名を無事帰還させた隊長の手腕は見事なものだと思った。
夏休みが終わり、学校が始まると自殺者が増えるそうだ。そんな子供たちに読み聞かせたい本だと思った。
「求む男子。至難の旅。わずかな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証なし。成功の暁には名誉と称賛を得る。ロンドンの新聞にこの広告を出したシャクルトン、殺到した五千人以上の志願者。その中からシャクルトンが稲妻のような速さで直観的選んだ隊員たち・・・・。そうなんだ直観が大切。
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